高齢化社会に向かいつつある日本では、介護業界の需要は増加傾向にあるものの、多くの介護施設が慢性的な人員不足に頭を悩ませているのが実情です。
こうした人材不足に陥ってしまう原因はいくつかありますが、特に大きく影響を及ぼしているのが労働時間の問題です。
介護サービスを提供している施設では、事業所によって職員の勤務形態が変化します。
要介護者が日中の時間帯だけ施設を利用するデイサービスの場合は日勤だけこなせばいいのに対して、宿泊設備が整っている施設では夜勤も行う必要があります。
介護職に限らず夜勤のシフトを取り入れている仕事はたくさんありますが、通常夜勤は日勤と同じ8時間を基本に始業時間を調整しているのに対し、介護士の場合は16時間勤務も珍しくはありません。
介護職の場合、要介護者の健康状態を常にチェックしておかなければならないからです。
そのため、24時間途切れることなく職員が常駐するために、午後5時~翌朝9時といった夜勤になってしまうことも少なくないようで、実際に全国の介護施設の7割近くが夜勤で16時間以上の勤務が行われているというデータがあります。
さらに、この過酷な勤務状況に加えて、人材不足の影響で、介護士一人ひとりの仕事の負担が増えてしまうことも離職率の高さに繋がっています。
したがって、介護士の人材不足を解消するためには、勤務時間を見直し、ワークライフバランスが取りやすい労働環境を整えることが重要であり、社会全体でこの課題を解決する必要がありそうです。